INTER FORCE

2019/01/17 12:30

海外で高い評価を得るための映像制作のポイント 前編

翻訳して、そのまま映像に使うのでは伝わらない?海外でソーシャルシェアを獲得するには、言葉だけでなくコンセプト、構成、アピールポイントまでをチューニングすることが重要です。

向島 湊(むこうじま みなと)

Minato Mukojima

米国ニューヨーク州立大学芸術学部卒。東京、ニューヨーク、ロサンゼルス、中国を拠点に現地のベンダーと協力して日本企業の海外広告プロモーション、PRブランディング、海外マーケティングの分析、戦略等の一貫した設計に携わる。日系・外資系大手企業のPMO、コンサルタントを歴任。

1. 言葉と映像の役割分担を意識する

例えば、「恵比寿」には「人気の街、都会、お洒落」などの付加のイメージがあります。日本語の「恵比寿」を翻訳すると「Ebisu」になりますが、はじめてこの言葉にふれる海外の外国人にとって、日本語と同等の意味合いで伝わるでしょうか。言葉には言葉のもつ文化的文脈があり、言語的または意味的に翻訳するとうまくいかないことがあります。日本では前提とされている文化的背景は動画の中でもチューニング調整していく必要があります。

この場合の恵比寿は「Ebisu, a stylish town in Tokyo」と意味を補完して映像の中にテロップかナレーションとして挿入すれば、伝わりやすくなります。もし、映像表現の中でおしゃれさや都会的な風景が十分に訴求できている場合は、Ebisu単体としてもよいかもしれません。映像制作の中で伝えられていること、そしてナレーションやテロップなどの文章が伝えていることの棲み分けがきちんとできているとよいでしょう。

外国語というと、英語以外の言語は特に相互チェックをすることが難しく、「翻訳業者があげてきたものだから間違いないだろう」と考え、チェックを怠ってしまうことがあります。その結果、動画のシーンとずれてナレーションが挿入されていたり、必要不十分で伝わりづらい言葉になってしまうことがあります。海外で動画マーケティングをする際には注意しておきたいポイントですね。

2. 構成やコンセプトの大胆な変更が必要となる場合がある

言葉だけでなく、構成やコンセプトにも注意することが、海外に向けた動画マーケティングで外せないポイントです。

例えば、日本語で「コストが低い」は英語では「Low Cost」となります。これをそのまま、日本より生産コストが圧倒的に低い東南アジアなどにもっていくと、どうでしょうか。もしかすると、Low Costではなく、High Costと表記するべきかもしれません。

このような場合、動画制作の中でのアピールポイントを変え、コンセプトを変更する必要があります。品質に対してコストメリットが高いとしたり、そもそも価格面を訴求ポイントから外すなどの大胆なチェンジも必要になります。いずれのケースにおいても、撮影後や動画制作途中で変えることは難しいので、企画段階から打ち合わせを重ねて調整する方がよいでしょう。

動画を発信するマーケットの経済レベル、文化、日本に関する情報量などをしっかり見極めてから、制作フェーズにうつると広告精度が飛躍的に上がります。効果的な動画マーケティングのためには、対象とするマーケットの独自文化やルールなども重視して企画すると評価されやすい動画となります。撮影や編集の前の企画設計の段階で海外視聴者の目線で考えてみることが重要です。

3. 最後に

海外マーケットにささる動画をつくろう。前編では、翻訳の精度と訴求コンセプトについて説明しました。後編では、デザインやテイストなどにポイントをあててご紹介します。海外に向けた映像制作のコツをマスターしていきましょう。

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