INTER FORCE

2019/03/24 11:57

海外マーケットとブランディングコミュニケーション
Vol1. 言葉は国境を越えるか

日経BP社でグローバル解説員としてコラムを連載中の向島湊が海外ブランディングの要旨をわかりやすく伝えます。

海外向けのコミュニケーション設計やコンテンツ制作を通じて、企業のグローバルプレゼンスを既存顧客、潜在顧客、採用ポテンシャル、IR、社内などのステークホルダーに訴求するポイントを解説していきます。

向島 湊(むこうじま みなと)

Minato Mukojima

米国ニューヨーク州立大学芸術学部卒。東京、ニューヨーク、ロサンゼルス、中国を拠点に現地のベンダーと協力して日本企業の海外広告プロモーション、PRブランディング、海外マーケティングの分析、戦略等の一貫した設計に携わる。日系・外資系大手企業のPMO、コンサルタントを歴任。

1. ブランディングコミュニケーションで言葉の占める役割は大きい

日本の企業が海外事業を展開するにあたって言語の壁は必ずぶつかる問題です。企業における言葉、特にマーケティングやブランディングの領域では、単純な人同士の言葉のコミュニケーションをこえ、セールスコピー、製品名、製品特長、プロモーション広告など、営業や販売に大きく影響があります。またブランディングにおいては、その企業のビジョンや社会課題への取組み、そしてその企業の抽象的なイメージをステークホルダーが形成するのに言葉は大きな役割を占めることでしょう。

そうした企業のイメージを左右するほどに重要な言葉を、単純に日本語を英訳するだけではいけません。日本で広告を出稿する際に、「日本人」ではなく「日本人でありかつコピーライター」が原稿を書くように、海外におけるコミュニケーション原稿の作り手が「英語ネイティブでありかつコピーライター」であった方がより効果的なブランディング活動をすることは想像にたやすいことと思います。

広告やメッセージ、そして表現や印象というものは、その文脈や背景などが幾重にも交差し、多層的で複雑なものです。その時代、その国の歴史、人々の価値観、現地競合のカラー、そして自社の理念など様々な要素が複雑に関係してきます。翻訳機やネイティブ翻訳者は言葉を言葉としてみているため、マーケットトレンドや業界知識までは考えられていません。日本語をそのまま海外マーケットの現地語にしただけでは、質の高いブランディング活動はのぞめません。

2. 海外の人的リソースをどこまでインクルージョンできるか

グローバルブランディングにおいて、決してやってはならないのが、「元の言葉がどれだけ現地語で表現できているか」ということです。例えば英語の例で見ると、英語として正確である、謝りがないということも確かに重要ですが、それを気にしすぎることは、問題です。
日本語をそのまま正しい英語でメッセージ伝達することにこだわっていては「伝える」目線です。マーケティングやブランディングはやはり「伝わる」目線で考え、文意の正確性にこだわりすぎず、何がローカルマーケットで好まれるかを考えなければなりません。海外マーケットにあわせてローカライズする際にはこうしたチューニングの補正作業を施すことでグローバルでのブランディングコミュニケーションが改善されます。

失敗しないためには、海外の現地スタッフや外国人社員の声に耳を傾けることが肝要です。かれらは、翻訳業者のネイティブではなく、海外マーケットで実際に顧客の声を聞き、反応を常日頃肌で感じている海外駐在社員や現地スタッフです。海外でのブランディングを着実につくりあげるためには欠かせない存在だと言えます。

日本企業は、海外の現場の意見を受け止める姿勢に欠けることもあります。こうした組織構造や体制が日本のグローバル企業の多くの課題といえます。海外の現場の意見をどこまでヒアリングできるか。そこに解決の糸口があるかもしれません。

3. 最後に

海外マーケットを成功させるには、現地マーケットに精通したライター、そして駐在員や外国人スタッフなどの人的リソース」を結集して「伝わる」言葉作りをしていく必要があります。

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